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1.知的財産とは −わかりやすい定義ー

◆知的財産の難しい定義に幻滅しないために

最近、日本にとって「知的財産」が重要な問題になりました。そこで、新聞、テレビ等で、「知的財産」という言葉を聞くことが多くなりました。

しかし、「知的財産」の意味を調べると、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、不正競争防止法など、難しい言葉が出てくるでしょう。

たとえば、知的財産とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいい、知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう、と法律で定められています。

これは正確な解説ですが、わかりやすい解説とはいえません。

これが、多くの人々にとって、「知的財産」が身近に感じられない原因になっています。

◆知的財産のわかりやすい定義

知的財産とは、色々な定義がありえますが、日本の未来のためには、簡単に定義することが重要です。

簡単に定義すれば、知的財産とは、

「人間の知的な活動により生じた財産」

です。

このように、簡単に定義しておくと、身近なところに、知的財産に関係するものが必ずあることが分かるでしょう。

◆知的財産は、あなたの生活と縁遠いものではない

難しい定義は、知的財産が一般の人の日常生活とは縁遠いものと感じさせてしまう危険があります。

しかし、知的財産は、実はあなたの生活と関係が深いものです。

あなたが買う商品やサービスには、ほとんどの場合、多くの知的財産が使われています。

たとえば、鉛筆を買った場合、木と黒鉛の塊を買っているのではありません。鉛筆を作るために、多くの人が工夫を凝らしてきました。鉛筆には、特許をはじめとして、多くの知的財産が使われています。

携帯電話を買った場合、鉄とプラスチックの塊を買っているのではありません。携帯電話には、無数の知的財産が使われています。

ブランド品を買った場合、ブランドのない品との価格の差は、材料費などもあるでしょうが、大半は知的財産の分の差と言えるでしょう。

電車に乗った場合、自動改札には多くの知的財産が使われています。また、電車の運行にも多くの知的財産が使われています。

あなたが、商品やサービスを買う場合、知的財産の成果を購入しているのです。

◆もっと広く知的財産を捉えてみよう

たとえば、発明をしたり、本を書いたりするときに、知的財産が生じます。

しかし、知的財産は、発明家や、作家等しかかかわりあいがないものではありません。

さらに広い意味では、料理のこつ、仕事のやり方、子供の育て方、伝統の技法、文化なども、知的財産の中に入ります。

あなたも、多くの知的財産を生み出しているでしょう。

もっとも、これらには財産ではないものが含まれているので、「知的資産」というべきだという意見もあるでしょう。

しかし、現在では、知的財産の範囲を広げようという努力が行なわれています。

日本発の新しい知的財産の概念を作る必要があります。今後、知的財産の概念は広がっていくでしょう。

2.知的財産立国とは −わかりやすい定義ー

◆知的財産立国とは

知的財産立国とは、簡単に言えば、知的財産により日本の国を豊かにするという思想です。

日本には、天然資源があまりありません。しかし、日本は、教育が行き届いており、人材が豊富です。

そこで、人々が知的財産を生み出し、活用していくことにより、日本の国を豊かにしていこうという思想です。

たとえば、車には多くの知的財産が使われています。性能のよい車をつくるためには、多くの知的財産が必要です。車の値段は、車の材料費(鉄、ガラス、プラスチック等)よりも高くなります。その値段の差は、手間賃(人件費)もありますが、知的財産の価格が大きいのです。

日本は、たくさんの知的財産を生み出すことにより、良い製品やサービスを世界に輸出できます。

こうして日本は世界に貢献し、その見返りに、天然資源や食料を輸入することができるのです。

◆日本の国が目指すもの

日本の国は何を目指しているのでしょうか。知的財産基本法という法律に、日本の国が目指すものが書かれています。

読むのが面倒な場合、説明(★の部分)だけを読めば、日本が何をしようとしているのかの大筋が分かるでしょう。

(目的)
第1条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、我が国産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が増大している状況にかんがみ、新たな知的財産の創造及びその効果的な活用による付加価値の創出を基軸とする活力ある経済社会を実現するため、知的財産の創造、保護及び活用に関し、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国、地方公共団体、大学等及び事業者の責務を明らかにし、並びに知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の作成について定めるとともに、知的財産戦略本部を設置することにより、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進することを目的とする。

★分かりやすく言えば、国を挙げて、戦略的に、知的財産の創造、保護、活用を行なおうということです。

(定義)
第2条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。 大学の定義等(省略)

★知的財産の定義です。なお、知的財産の概念は広がりつつあります。今後は、上記の定義よりも広く知的財産を捉えていくことが重要になるでしょう。

(国民経済の健全な発展及び豊かな文化の創造)
第3条 知的財産の創造、保護及び活用に関する施策の推進は、創造力の豊かな人材が育成され、その創造力が十分に発揮され、技術革新の進展にも対応した知的財産の国内及び国外における迅速かつ適正な保護が図られ、並びに経済社会において知的財産が積極的に活用されつつ、その価値が最大限に発揮されるために必要な環境の整備を行うことにより、広く国民が知的財産の恵沢を享受できる社会を実現するとともに、将来にわたり新たな知的財産の創造がなされる基盤を確立し、もって国民経済の健全な発展及び豊かな文化の創造に寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

★分かりやすく言えば、創造力の豊かな人材によって、知的財産を生み出し、豊かな国を作ろうということです。

(我が国産業の国際競争力の強化及び持続的な発展)
第4条 知的財産の創造、保護及び活用に関する施策の推進は、創造性のある研究及び開発の成果の円滑な企業化を図り、知的財産を基軸とする新たな事業分野の開拓並びに経営の革新及び創業を促進することにより、我が国産業の技術力の強化及び活力の再生、地域における経済の活性化、並びに就業機会の増大をもたらし、もって我が国産業の国際競争力の強化及び内外の経済的環境の変化に的確に対応した我が国産業の持続的な発展に寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

★分かりやすく言えば、知的財産によって、日本の産業を盛んにしようということです。

(国の責務)
第5条 国は、前二条に規定する知的財産の創造、保護及び活用に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

★以上について、国を挙げて、知的財産政策を行なうということです。

(地方公共団体の責務)
第6条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、知的財産の創造、保護及び活用に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

★地方公共団体(県、市町村など)も、以上の知的財産政策を行なうということです。まさに、日本が、渾身の力をふりしぼって、知的財産立国をしようとしているのが分かります。

(大学等の責務等)
第7条 大学等は、その活動が社会全体における知的財産の創造に資するものであることにかんがみ、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努めるものとする。
2 大学等は、研究者及び技術者の職務及び職場環境がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、研究者及び技術者の適切な処遇の確保並びに研究施設の整備及び充実に努めるものとする。
3 国及び地方公共団体は、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策であって、大学及び高等専門学校並びに大学共同利用機関に係るものを策定し、並びにこれを実施するに当たっては、研究者の自主性の尊重その他大学及び高等専門学校並びに大学共同利用機関における研究の特性に配慮しなければならない。

★大学も、知的財産立国に協力するということです。研究者及び技術者の適切な処遇についても述べられています。

(事業者の責務)
第8条 事業者は、我が国産業の発展において知的財産が果たす役割の重要性にかんがみ、基本理念にのっとり、活力ある事業活動を通じた生産性の向上、事業基盤の強化等を図ることができるよう、当該事業者若しくは他の事業者が創造した知的財産又は大学等で創造された知的財産の積極的な活用を図るとともに、当該事業者が有する知的財産の適切な管理に努めるものとする。
2 事業者は、発明者その他の創造的活動を行う者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、発明者その他の創造的活動を行う者の適切な処遇の確保に努めるものとする。

★事業者(会社等)も、知的財産立国に協力するということです。民間も知的財産立国に協力することになります。また、発明者等の適切な処遇についても述べられています。

(連携の強化)
第9条 国は、国、地方公共団体、大学等及び事業者が相互に連携を図りながら協力することにより、知的財産の創造、保護及び活用の効果的な実施が図られることにかんがみ、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

★国と地方公共団体と大学、民間等が協力して、知的財産立国を行なうということです。まさに、官民挙げての知的財産立国です。

(競争促進への配慮)
第10条 知的財産の保護及び活用に関する施策を推進するに当たっては、その公正な利用及び公共の利益の確保に留意するとともに、公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮するものとする。

★公正かつ自由な競争促進への配慮について述べています。

(法制上の措置等)
第11条 政府は、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

★政府が知的財産立国を実施をするための措置を講じなければならないことを述べています。

(研究開発の推進)
第12条 国は、大学等における付加価値の高い知的財産の創造が我が国の経済社会の持続的な発展の源泉であることにかんがみ、科学技術基本法(平成七年法律第百三十号)第2条に規定する科学技術の振興に関する方針に配慮しつつ、創造力の豊かな研究者の確保及び養成、研究施設等の整備並びに研究開発に係る資金の効果的な使用その他研究開発の推進に必要な施策を講ずるものとする。

★研究開発による科学技術の振興が重要であることを述べています。

(研究成果の移転の促進等)
第13条 国は、大学等における研究成果が新たな事業分野の開拓及び産業の技術の向上等に有用であることにかんがみ、大学等において当該研究成果の適切な管理及び事業者への円滑な移転が行われるよう、大学等における知的財産に関する専門的知識を有する人材を活用した体制の整備、知的財産権に係る設定の登録その他の手続の改善、市場等に関する調査研究及び情報提供その他必要な施策を講ずるものとする。

★大学の研究成果を民間に移転することが述べられています。

(権利の付与の迅速化等)
第14条 国は、発明、植物の新品種、意匠、商標その他の国の登録により権利が発生する知的財産について、早期に権利を確定することにより事業者が事業活動の円滑な実施を図ることができるよう、所要の手続の迅速かつ的確な実施を可能とする審査体制の整備その他必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策を講ずるに当たり、その実効的な遂行を確保する観点から、事業者の理解と協力を得るよう努めるものとする。

★ 迅速に知的財産の権利を与えることを述べています。

(訴訟手続の充実及び迅速化等)
第15条 国は、経済社会における知的財産の活用の進展に伴い、知的財産権の保護に関し司法の果たすべき役割がより重要となることにかんがみ、知的財産権に関する事件について、訴訟手続の一層の充実及び迅速化、裁判所の専門的な処理体制の整備並びに裁判外における紛争処理制度の拡充を図るために必要な施策を講ずるものとする。

★知的財産の紛争解決の迅速化を述べています。

(権利侵害への措置等)
第16条 国は、国内市場における知的財産権の侵害及び知的財産権を侵害する物品の輸入について、事業者又は事業者団体その他関係団体との緊密な連携協力体制の下、知的財産権を侵害する事犯の取締り、権利を侵害する物品の没収その他必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、本邦の法令に基づいて設立された法人その他の団体又は日本の国籍を有する者(「本邦法人等」という。次条において同じ。)の有する知的財産が外国において適正に保護されない場合には、当該外国政府、国際機関及び関係団体と状況に応じて連携を図りつつ、知的財産に関する条約に定める権利の的確な行使その他必要な措置を講ずるものとする。

★外国にも知的財産を守るように働きかけていきます。

(国際的な制度の構築等)
第17条 国は、知的財産に関する国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通じて、各国政府と共同して国際的に整合のとれた知的財産に係る制度の構築に努めるとともに、知的財産の保護に関する制度の整備が十分に行われていない国又は地域において、本邦法人等が迅速かつ確実に知的財産権の取得又は行使をすることができる環境が整備されるよう必要な施策を講ずるものとする。

★世界的に知的財産への取り組みを行なっていきます。

(新分野における知的財産の保護等)
第18条 国は、生命科学その他技術革新の進展が著しい分野における研究開発の有用な成果を知的財産権として迅速かつ適正に保護することにより、活発な起業化等を通じて新たな事業の創出が期待されることにかんがみ、適正に保護すべき権利の範囲に関する検討の結果を踏まえつつ、法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、インターネットの普及その他社会経済情勢の変化に伴う知的財産の利用方法の多様化に的確に対応した知的財産権の適正な保護が図られるよう、権利の内容の見直し、事業者の技術的保護手段の開発及び利用に対する支援その他必要な施策を講ずるものとする。

★新しい分野において知的財産を保護し、起業等を促進します。

(事業者が知的財産を有効かつ適正に活用することができる環境の整備)
第19条 国は、事業者が知的財産を活用した新たな事業の創出及び当該事業の円滑な実施を図ることができるよう、知的財産の適正な評価方法の確立、事業者に参考となるべき経営上の指針の策定その他事業者が知的財産を有効かつ適正に活用することができる環境の整備に必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策を講ずるに当たっては、中小企業が我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき重要な使命を有するものであることにかんがみ、個人による創業及び事業意欲のある中小企業者による新事業の開拓に対する特別の配慮がなされなければならない。

★知的財産の環境を整備します。個人、中小企業の事業の環境を整備します。

(情報の提供)
第20条 国は、知的財産に関する内外の動向の調査及び分析を行い、必要な統計その他の資料の作成を行うとともに、知的財産に関するデータベースの整備を図り、事業者、大学等その他の関係者にインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に情報を提供できるよう必要な施策を講ずるものとする。

★知的財産に関する情報を提供します。

(教育の振興等)
第21条 国は、国民が広く知的財産に対する理解と関心を深めることにより、知的財産権が尊重される社会を実現できるよう、知的財産に関する教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた知的財産に関する知識の普及のために必要な施策を講ずるものとする。

★知的財産に関する教育を振興します。

(人材の確保等)
第22条 国は、知的財産の創造、保護及び活用を促進するため、大学等及び事業者と緊密な連携協力を図りながら、知的財産に関する専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

★知的財産に関する人材を確保します。

第23条 知的財産戦略本部は、この章の定めるところにより、知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画(以下「推進計画」という。)を作成しなければならない。(以下略)

★知的財産に関する推進計画を作成します。

(設置)
第24条 知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するため、内閣に、知的財産戦略本部(以下「本部」という。)を置く。

★知的財産に関する戦略本部を内閣に設けます。

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